「風俗営業等の規制及び業務の適正化に関する法律」等改正案の あるべき方向性について

2012年11月1日
Let’s DANCE法律家の会
代表 弁護士  中 村 和 雄

Let’s DANCE法律家の会は、「風俗営業等の規制及び業務の適正化に関する法律」等の改正案について、そのあるべき方向性について、以下のように考える。
<改正の趣旨>
1 風俗営業等の規制及び業務の適正化に関する法律第2条第1項
第1号、同条項第3号および同条項第4号の各規定を削除する。
2 上記削除にともなう関連規定の整備を行う。
3 必要に応じ、法令等の改正を行い、同条項第2号の規制対象を
整備する。
<改正の理由>
第1 人権侵害のおそれ
「風俗営業等の規制及び業務の適正化に関する法律」(以下「風営法」)第2条第1項第1号、同第3号、同第4号は、営業形態の差はあれいずれも「ダンスをさせ」る営業を風俗営業とし、これを規制対象として規定している(「ダンス規制」)。
しかし、そこにいう「ダンス」とは「男女の享楽的雰囲気を過度に醸成させるダンス」と解されているが、いかなるダンスがかかる「ダンス」に該当するのかについては、通常の判断能力を有する一般人の理解においても判断がつきかねるものであって、上記「ダンス規制」は、明確性の原則(憲法第31条)に反する疑いがある。
また、芸術的文化的表現手段の一つとして認められているダンスは、少なくとも現代において、一般的に善良な風俗や清浄な風俗環境、少年の健全育成を害するような危険をはらんでいるとは言えない。にもかかわらず上記のように不明確な基準でしかない「ダンス」を基準にして規制を及ぼそうとすることは、表現の自由(憲法第21条)や営業の自由(憲法第22条)、さらには人格権(憲法第13条)を侵害するおそれすらある。
他方、仮にダンスを伴う営業が善良な風俗等を害することがあるのであれば、他の個別法規によって対応することが十分に可能なのであるから、「ダンス」を基準にして規制を及ぼす必要性も存しない。

第2 改正の方向性
以上のような問題を解決するには、上記「ダンス規制」である風営法第2条第1項第1号、同第3号、同第4号を削除するべきである。
同条項2号「設備を設けて客の接待をして客に遊興又は飲食をさせる営業」については、上記削除に伴って「(前号に該当する営業を除く。)」も削除されることになる。この結果、「ダンスをさせ」る営業のうち、「接待」の要素を有する営業は、同条項2号営業として風営法の規制対象となる。
また、上記削除によって、善良の風俗と清浄な風俗環境の保持、及び少年の健全な育成に障害を及ぼす行為の防止に問題が生じうる場合には、同条項2号の規制対象の概念である「接待」や「遊興」の概念を下位法令によって整備し、対応することが考えられる。
さらに、他の個別法令について、その目的範囲内での積極的な活用を行うことで、発生しうる問題について相当の解決が期待できる。
なお、深夜遊興等、風営法上の他の条項における関連法規については、その改正の必要性、方向性も含め、検討する方針である。

第3 まとめ
以上がLet’s DANCE法律家の会における現段階での風営法等改正案の方向性についての見解であるが、風営法上の「ダンス規制」以外の法規や、その他関連法令の整備については、関係各方面と協議しながら、今後も検討を続けるものである。

以上